すのこベッドは桐製が定番。でも桐は変色する可能性あり - すのこベッド愛好会

すのこベッドは桐製が定番。でも桐は変色する可能性あり


すのこベッドの材料としてもっとも採用されているのが桐材。

ここでは、その桐材について考えます。

さて。

まず、桐の木ですが、外見はこんな感じです。

写真は、大きく成長した桐の木です(図参照)。

紫色でいい匂いのする美しい花を5月に咲かせます。

▼図:開花した桐の木
P5229119.jpg

葉っぱの形が特徴的でデカイので、すぐに桐だとわかります。
あなたの家の周りにも生えているかもしれませんね。

さて、桐といえば、日本人なら桐タンスです。

一昔前は、嫁入り道具の必須のアイテムでした。

桐タンスは、一棹(さお)、二棹(さお)と数えますが、伝統工芸品の桐タンスともなると、一棹でもびっくりな単価になります(下図参照)。

▼図:高級桐タンス


上図のような桐タンスはもう工芸品の世界ですけどね。

桐のタンスは、材料の選択の厳しさや、製造工程の複雑さ、旧態依然とした流通制度のために、百貨店の店頭などでは高額な単価設定がなされています。

桐という材料は、アジア産の木材のなかでは、もっとも比重が軽く、そのため優れた断熱効果や吸放湿効果を示します。

桐の比重が軽いということは、その組織の中にたっぷりとスキ間があるということで、そのスキ間に湿気を取り込んだり吐き出したりすることによって、桐材は収縮します。

収縮する習性を持った桐材と、ぴったりの寸法でカンナをかける桐タンス職人の技によって、湿気のある季節には膨らんで密閉し、乾燥した季節には収縮して空気を通し、収納された着物を守るというすぐれた収納機能が実現されるのです。

しかしながら、今では着物を着る需要そのものが激減し、衣服の収納そのものが、タンスよりも作り付けのクローゼットに移行しており、箪笥材料としての桐の需要は減り続けています。


そもそも桐材は、次のような利点を持っています。

■比重が軽い
■柔らかくて精密な加工がしやすい
■腐りにくい
■成長が早い

この桐材をすのこベッドの材料として採用することで、次のような利点があります。

■製品そのものの重量が軽くなり、持ち運びが楽になる。
■万一ぶつかっても柔らかいのでケガをしにくい
■湿気に強く腐りにくい
■材料が比較的供給しやすく、価格の安定化がはかれる

現在、一部を除いてほとんどのすのこベッドは、日本で企画され、中国で作られています。

桐はもともと中国原産の樹木であり、その植林が奨励されていたこともあって、豊富な桐資源が中国にあります。

桐の根は地中深くに伸びるので他の植物と争うことが少なく、防風林としても植えられてきました。

中国皇帝をはじめ、2000年にわたって中国のカンオケは桐で作られてるってゆーのもその業界では有名な話です。

一時的に、桐を植えるよりもポプラの方が儲かるという風潮になったときには、桐材よりもポプラの植林のほうが勢いを増しましたが、再び桐の市場価格が高くなり、中華の農民たちも桐の栽培を熱心に行っています。

ポプラはある種の虫に弱いのですが、桐は虫や病気に関しては強い性質を持っています。

現在、桐材は、アメリカやオーストラリアの住宅でも、外壁材やブラインド材などとして大量に使用されるようになっています。

水に強くて腐りにくく、しかも軽くて燃えにくい。短期間で成長する持続可能な資源、そんな桐材は家の外壁材に最適だってことを白人も気づいたわけですね。

また、さまざまな桐の品種の研究も中国の国家的な研究機関によって行なわれ、世界各国での桐の植林について助言を行っていて、桐の植林は世界に広まりつつあります。

そんな状況の桐材を利用して、日本向けのすのこベッドも作られているんですね。


中国産の桐材にもいろんなグレードがあります。

品種もいろいろです。

日本の桐タンス製造には、日本国内産の桐やアメリカ産の木目の間隔が狭い桐が珍重されます。

中国産の桐材にも、日本産やアメリカ産と同等のグレードを持つ桐材もありますが、それはごく一部であり、中には桐の木の枝の部分を集成して漂白した材料が使われていることもあります。そのような材料で作られたすのこは当然強度的に弱く、すぐに割れたりするクレームにつながります。

中国は、日本国内の業者の要求に合わせた品物を供給しています。

安い価格要求に対しては、そのコストに耐えうるグレードの材料が使われ、ある程度の価格帯のものには、ある程度のグレードの桐材が使われています。

大切なのは、自分が欲しい製品のランクを明確にすること。

そこさえ納得できれば、買ってみてから「こんなハズではなかった」ってことにはなりません。

家のなかに、いろんな樹種の家具があるっていうのはいいもんです。

この椅子はナラ材でできています、とかこのコタツの脚はブナですとか。

そしてすのこベッドは桐です、とかね。

ちなみに、桐材が使われているのは、すのこのほかに、ゲタとか琴とかかけ軸の箱とかいろいろあります。

自分の家にある木製品が、何の木なのか調べてみるのも面白いです。

ま、ほとんどが、木に見せかけた印刷品だったりしますけどね。

■桐材の変色について

桐材について1つだけ注意点をあげておきます。

それは、桐材は変色する可能性がある材料だということです。

桐という木には、もともとシブとか灰汁(あく)とか呼ばれる変色しやすい物質が含まれています。

その代表的な成分はタンニンです。

タンニンってあれです。お茶や柿の実にも含まれている物質です。柿の実の皮を剥いてしばらくすると柿の実の表面が黒っぽくなってきますよね。あれは、タンニンが空気のなかの酸素と反応して変色するからです。

んで、桐の木にもそのタンニンなどの変色する成分が含まれています。

変色を防ぐために、先人たちは、そのタンニンをがはじめとした変色するかもしれない成分をあらかじめ桐材から抜く方法をいろいろ考えてきました。

変色成分は水溶性なので、水に溶けます。

桐タンスの職人たちは、製材したあとの桐の板を何年も屋外に置いて、雨や日光にさらします。桐板内部の変色成分を雨水の力で抜くわけですね。

同様に、中国では、桐材を水や温水プールに漬け込んで、変色成分を水の中に溶けださせて短時間で除去していますが、価格の低い製品では、その除去がされていなかったり、不十分だったりします。

ある程度の価格のすのこベッドで、変色成分の除去加工がされていても、使われる場所の湿気がひどく多かったりすると、その湿気によって変色成分が酸素と反応して桐材が変色することがあります。

湿気がひどいと変色の仕方もびっくりするほどすごいので、初めてその変色を見るたいていの人はびっくりすます。

なんじゃこりゃーって感じです↓。

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▲図:変色初期の桐(赤紫色でびっくり)

ただ、変色する成分は、もともと天然由来のものですから、変色しても人体の健康に影響はありません。

見た目だけの問題です。

桐材に含まれる変色成分が、室内の湿気によって酸素と反応すると、最初は赤紫色になります。
けっこうな赤紫色になるんですよ、これが。

桐材はもともとの木肌の色が白いので、変色するとけっこう目立ちます。

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▲部屋が湿っていて変色した桐

この変色をみて、桐にカビが生えたと勘違いされる方もいらっしゃいますが、カビによる発色ではありません。

で、そのまま放っておくと、その赤紫色は落ち着いた褐色(下図参照)、そして黒に近い褐色へと変わっていきます。

▼図:変色した桐(赤紫から褐色になろうとするあたり)
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黒に近い褐色になった時点でほぼ変色は安定した状態になりまして、以降はずっとその色のままです。

変色してしまった桐は、漂白剤を使うことで、ある程度は白くすることが可能です。

変色する前と変色したあとの桐の見た目の違いはこんな感じです(下図参照

図:変色前(上)と変色後(下)の桐材
P1010968.jpg

この桐材の変色を嫌うために、あらかじめ強力な漂白剤に桐を漬け込んで、真っ白にしておく方法が取られている製品もありますが、当愛好会は、薬品で真っ白に漂白されたすのこベッドより、変色の可能性があっても、漂白処理されていない安全なすのこベッドを愛します。

余談ですが、中国で作られている日本向け桐製棺桶などは完全に漂白処理されて作られています。その棺桶の表面は、驚くほどの白さです。ま、生きてない人間が使う製品なのでそれはそれでいいですけど。

▼桐の棺桶(真っ白です)


桐材がなぜ変色する成分を持っているかとゆーと、桐の木に必要なものだからこそ、生きている桐材の中に存在しているわけです。

その成分のおかげで、桐材は水に強く、腐りにくく、虫の害に対しても他の樹木よりも受けにくいと言われているのです。

桐タンスの職人たちは、桐を雨にさらして変色成分を抜く努力をしても、いつかは変色する可能性があることを知っているので、変色しても目立たないように、出来上がったタンスの表面を焼いたり(時代仕上げと呼ばれます)、との粉を塗ったりするわけです。

▼時代仕上げ桐タンス


そうして完成する桐のタンスですが、濃い色の時代仕上げは別として、とのこ仕上げなどのナチュラルで繊細な色合いの桐タンスは、数十年と時が経つとやっぱりいつの間にか変色するので、タンスの削り直しってゆー習慣があるわけですね。

そんな変色する桐を心配してか、もともと桐が使われていた部位にファルカタという材料が代用として使われることがあります。当愛好会の調査では、ファルカタ材で作られたすのこベッドをいまだ確認したことはありませんが、ベッドの床板や抽斗(ひきだし)などの一部でファルカタ材は使われています。

ファルカタ材は「南洋桐」とも呼ばれ、桐よりも少しだけ重い材料ですが、木材のなかではきわめて軽い材料と言えます。しかし、桐とはまったく別種の材料で、肌目はやや粗く、虫害や青変菌の害を受けやすいと言われており、耐久性が低い材料です。


▲ファルカタ材

「南洋桐」という名前は所詮「桐もどき」。「がんもどき」みたいなもんです。

もともと桐が使われていたところには、桐を使う理由があったということですね。


いろいろ桐について書きましたが、ここでは、桐材はもともと変色する可能性を持っているってことだけ、覚えておいてくださいね。

特に湿気が多いところでは変色の可能性は高くなります。

なにこれ不良品! メーカーにクレームだっ!って思う前に、ああ桐材の防御反応が出たね、ちょっとこの部屋、湿気がひどすぎる?って思ってもらえたら幸いです。




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